【業界研究】日本の舶用エンジンメーカーまとめ
海洋国家、日本。日本には数多くの造船所や舶用機器メーカーが存在します。その中でも今回は舶用エンジンメーカーについてまとめていきます。便宜上2ストロークエンジン、4ストロークエンジンの両方を作っているメーカーは2ストロークエンジンの方で説明します。
2ストロークエンジン
ピストン1往復で吸気→圧縮→爆発→排気の行程を行う。ライセンサーはMAN ES,スルザー,三菱UEの3メーカーが主に存在する。メインエンジンに採用されることがほとんど。大型で高出力、低回転となることが多い。
MAN ES 系列
ドイツに所在する重工系メーカー。旧名のMAN B&W で知られる。舶用エンジン以外にもトラックやバスで有名。2ストロークエンジンのシェアのうち86.4%がこの会社のラベルで生産されている。
三井E&S (7003 東証プライム)
元三井造船。造船所自体は2021年10月より当社からは分離された。造船所の設備および艦艇部門は三菱重工傘下の三菱重工マリタイムシステムズに譲渡され、商船部門は常石造船に移設された。現在、岡山県の玉野工場で生産されており、すぐ横に三菱重工マリタイムシステムズが存在する。
マキタ
三井E&S系列エンジン。小型の2ストロークエンジンを強みとしている。現在、香川県高松市で生産されており、すぐ横に四国ドックが存在する。
日立造船 (7004 東証プライム)
元造船企業。大阪のユニバーサルスタジオジャパンは、この会社の造船所跡値に建設された。エンジン以外にもごみ焼却プラントや水門、洋上風力発電なども手掛けている。エンジンは熊本県の有明工場で生産されており、すぐ横にJMUの有明工場が存在する。
株式会社アイメックス
日立造船系列の会社。広島県尾道市の因島に工場を持つ。工場の横には内海造船やJMUの因島工場が存在する。
川崎重工 (7012 東証プライム)
言わずと知れた日本三大重工業の一つ。兵庫県神戸市の神戸工場で生産され、同工場内には造船所も存在するが、造船所では通常潜水艦しか生産されていない。
阪神内燃機工業 (6018 東証スタンダード)
川崎重工系列エンジン。2ストロークエンジン、4ストロークエンジンの両方を生産している。兵庫県明石市の明石工場、玉津工場、播磨町の播磨工場で生産されている。
スルザー系列
スイスのスルザー社により設計されたエンジン。現在はフィンランドのバルチラにより管理されている。シェアは9.9%。
IHI原動機
新潟原動機とディーゼルユナイテッドが合併されてできた。2ストローク、4ストローク両方を生産しているが、2023年4月に低速大型エンジン(2ストローク)は三井E&Sに譲渡される。一部の4ストロークエンジンはニイガタブランドで生産をしている。群馬県太田市の太田工場、新潟県新潟市の新潟内燃機工場、兵庫県相生市の相生事業所で生産をされている。
三菱UE系列
日本唯一の2ストロークエンジンライセンサー。ジャパンエンジンコーポレーション統合前の三菱重工で開発された。シェアは3.7%。
ジャパンエンジンコーポレーション (6016 東証スタンダード)
神戸発動機と三菱重工のエンジン部門が統合してできた。世界の2ストロークエンジンライセンサーで唯一エンジン製造もおこなっている。兵庫県明石市で生産している。
赤坂鐵工所 (6022 東証スタンダード)
国内唯一のUEエンジンのライセンシー。静岡県焼津市の豊田工場および中港工場で生産されている。2ストロークエンジン以外にも4ストロークエンジンも生産している。
4ストロークエンジン
ピストン2往復で吸気→圧縮→爆発→排気の行程を行う。様々なメーカーが多くのエンジンを製造する。メインエンジンのほかに補助エンジンや発電用エンジンに採用される。2ストロークエンジンに比べて小さく、高回転低出力となることが多い。
ダイハツディーゼル (6023 東証スタンダード)
発電用エンジンに強み。滋賀県守山市の守山工場と兵庫県姫路市の姫路工場で生産をされている。「ダイハツ」の名前がついているが、ダイハツ工業の関連企業でダイハツディーゼルの株式のうち35.42%をダイハツ工業が保有している。
ヤンマー
舶用エンジン以外にも農業用機器やプレジャーボートに強み。大企業ではあるが、非上場である。兵庫県尼崎市にある尼崎工場、塚口工場で生産されており、尼崎工場では大形エンジンが、塚口工場では中小形エンジンが生産されている。
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